ニコ技深圳観察会に参加しました(その5)

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Seeedで参加者のみなさんと(大好きな1枚)

観察会3日目。すでに頭の中はかなり「深圳ヤバい」という風になってます。

この日も華強北のスタバ前に集合し、バスで一路宝安地区へ。

深圳を象徴するような企業へ次々と

最初の訪問場所はAsh Cloud。生産管理から人の管理、そして品質管理まですべて統合されたアプリで行っている工場です。

事前に少し説明はあったものの、一歩足を踏み入れた瞬間その「狂気」がひしひしと伝わってきました。見学の記念にいただいたボールペンのケースにはこう書かれています。

整合单一系统于App內

漢字を見ればだいたいの意味が分ると思いますが、アプリ内のシステムにすべてが統合されているということで、それがこの工場の最大の特徴であると自ら宣言しているわけです。品質とか真心とかではなく、アプリ。それこそがAsh Cloudなのです。

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参加者の方とアプリの説明を受ける

アプリのデモを見せていただきましたが、こうして思い出すだけでもその狂気の沙汰にめまいがします。工場でのあらゆる管理を想定し、必要な情報が見やすく適切に紐づいていて、見たところ動作も安定していました。またユーザーインターフェースも素晴らしかったので、おそらく新入社員がアプリを使いこなすハードルも低いでしょう。

私もそれなりにサイトやアプリの開発に関わってきたので、あのアプリを作るのにどれだけの労力が必要だったかよく分かります。日本であれば「ここはパッケージの○○を利用して」みたいになりそうな部分(例えば人事管理)も何が何でもアプリに入れてしまうというのは熱意を通り越してまさに狂気としか言いようがありません。ただ、最先端のテクノロジーを使い倒し、生活を豊かにしていこうという前向きなエネルギーはいかにも深圳らしいと感じました。

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Ash Cloudのキッチンは撮影用のスタジオさながら

狂気を目の当たりにしたおかげでふらふらになりつつ、次はSeeedへ。安く、早く、小ロットでの供給に応えることでメイカーのcreativityを支えている企業です。Seeedという企業を一口で説明するのはとても難しいので、興味がある方はぜひ高須氏の著作「メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない(インプレスR&D 2016)」をご覧ください。

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オープンで他の工場とはまったく違った雰囲気のSeeed

ちなみに、今回訪問した企業の中で、このSeeedがいちばん印象的でした。まさに現在の深圳を象徴する代表的な企業。もちろん、どの企業も勢いがあり、働いている方もみな熱心で素晴らしかったのですが、アクセラレーターでもなく、ただの工場でもなく、でもメイカーに欠かせないポジションを築いているSeeedという企業のオリジナリティがたまらなく心地よく感じられました。

そして昼食後は再開発が進む南山地区にメイカーのための新しい拠点として誕生した柴火Xfactoryへ。午前中に訪問したSeeedが運営しています。

そこではXfactoryのWayneさんが深圳の歴史から、次のメイカーフェアの計画まで説明をしてくださいました。Xfactory周辺は今はまだ開発途上ですが、今後新たなメイカーの聖地となっていくのではないかと感じさせる空気がありました。ここは他の企業や工場と比べ、個人でも行きやすいと思うので、深圳のメイカームーブメントを追いかけたい人は要チェックだと思います。

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柴火Xfactoryで参加者のみなさんと

ここまででも完全な消化不良状態でしたが、次に向かったのがInsta 360です。高品質な360度カメラで一気に世界の注目を集めた企業なので、中国に興味がなくても知っている方がいるのではないでしょうか。

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見る人が見ればきっと大興奮のInsta360進化の歴史

最近、本格的に日本にも進出したとのことで、私たちの訪問をとても歓迎してくれて、過去の製品や最新の製品を案内してもらいましたが、私自身360度カメラについてあまり知識がなく、正直なところプレゼンの内容はよくわかりませんでした。その後日本に帰って来てから少し調べたところ、カメラの性能はもちろん、連携するアプリの操作性も素晴らしく、圧倒的な商品力を持つことが分かりました。それなのに価格はお手頃。世界中の撮影マニアを瞬時で虜にしたのも納得です。

いよいよテンセントへ

プレゼンの内容はよくわからずとも、ひとまず勢いのあるInsta 360を訪問できたという満足感に浸りつつ、次に向かったのがTencent。そう、WeChatで中国を席捲し、私を深圳に導いた「張本人」の腾讯です。

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巨大なテンセントの本社ビル

ビルのロゴを見たところから大興奮で、ロビーにあったQQペンギンのオブジェと写真を撮り、消化不良の頭はひとまず横に置いておいて、完全に観光客気分でVR チームが待つ会議室へと向かいました。

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完全に観光客気分でQQペンギンと記念撮影

個人的にはその段階でもう目的は果たしていましたが、事件は、会議室で起こりました(笑)。今回、VRチームが私たち観察会を受け入れてくれた理由の一つは、参加メンバーの一人であるGOROmanさんと面談するためだったそうです。

さっそくGOROmanさんによるプレゼン。実は同じプレゼンをInsta 360でも見ていて、GOROmanさんのプレゼン能力にビックリしてしまったのですが、Tencentでは日本語だったこともあり、さらにそのうまさにビックリ!!あっという間にTencentのVR担当者をひきつけて、ワクワクする話がずんずんと進んでいきます。「こ、これは、もしかして歴史的瞬間に居合わせているのかも…」と感じずにはいられませんでした。

本当に盛りだくさんの観察会でしたが、1日目より2日目、2日目より3日目とヤバさ加減がどんどん増していったなーと、こうして振り返ってみて改めて感じます。Tencentの締めはお土産ショップでみんなで爆買い。こうして全日程が終了しました。

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テンセントのお土産ショップで爆買い

この後、私はどうしてもXiaomiショップへ行きたくて、後ろ髪をひかれつつ最後の食事を中座しました。ちゃんとごあいさつできなかった人もいましたが、今はSNSがある時代。参加メンバーとはその後もちゃんとつながって、私自身、帰国後新たな取り組みを始めたのでした。

まとめにつづく)


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中野 志穂(ねこりん)

IT業界に身を置くようになって10余年。最近は主にギーク中国語講座のねこりん。

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