深圳でインターンをした話(後編)

再開発が進む深圳保安地区

2017年7月に深圳の工場でインターンをしました。
最初の3日間、ラインでの仕事を体験させていただいた後は品質管理の実習をしました。

●4日目(木曜日)

出社後、品質管理の責任者にごあいさつした後、すぐに品質管理部門の部屋へ。他の工場から納入された部品をラインに回す前にチェックする仕事をやらせていただきました。

JENESISでは基本的に全数検査ではなく、納入された数に応じてチェック数を決める選択式検査を実施しています。実際に検査する部品は、納入された箱から少しずつバランスを見てピックアップ。

チェック項目は部品ごとに傷や汚れはないか、バリは許容範囲内か、機能を果たせない障害はないか、などなど細かく設定されています。その説明を中国語で理解しなければいけないのでさあ大変。万一間違った理解でチェックしてしまったら、不良品をラインに回してしまうことになります。うまく表現できないことにイライラしつつ、一つずつチェックする内容を確認しながら作業を進めました。

日本の製品も多く手掛ける深圳でも高品質な工場だけあって、各部品も高い要求に応えているものが多く、不良品はそれほど多くないという印象でした。それでも、一定数不良品が出るケースがあり、基準を超えた不良品が出たロットはすべて返品されます。

私がチェックした中にも基準を満たせず返品になったものがありましたが、やはりそういうケースはあまり多くないらしく「今回は不良品がたくさんあってラッキーでしたね。」と冗談を言われました。

ラインの担当者もとても優秀でしたが、品質管理の担当者もやはり優秀で、私が実習でより多くを学べるよう、業務全般にわたり丁寧に説明をしてくださり、私も新入社員になった気持ちで業務を学ぶことができました。

●5日目(金曜日)

前日に引き続き品質管理部門で部品チェックをやりました。すっかり担当者とも打ち解け、業務でよく使う単語にも慣れ、本当に社員になった気持ちで作業をすることができました。作業の合間には雑談する余裕もでき、日本の話をしたり、深圳の食事情について教えてもらったりしました。

このままここで仕事を続けたいと心から思うほど楽しい職場でしたが、インターンはこの日が最終日。就業後は経営者の藤岡さんのご配慮で、女性社員と食事に行きましたが、そこでもみなさん仲間の一員のように接してくれて、こうして書いていても今すぐ戻りたい気持ちになるほどです。

JENESISのみなさんと

●インターンを終えて

今回、生れてはじめて工場の一員として仕事をするという経験をして、生産現場のさまざまなことが分かりました。まずはライン設計の重要性です。言うまでもないことですが、作業をどのように分担し、どのような行程で進めるかによって品質と生産数が決まります。無駄なく効率的な設計であるほど高品質ながら低コストを実現でき、それがそのまま競争力になります。

さらに、どれほど設計がすぐれていても、例えば不良品による返品が発生したり、人員の手配が思うようにいかなかったり、不確定要素は多々あり、その都度最適に調整する必要があります。

今回、出荷前の大変な時期を経験できたことで、人が増えればその分作業量は確実に増えるものの、若干効率性が犠牲になるような場面も目にしました。人員と効率性のバランスが崩れ、非効率が目立つようになるとそれはすぐさまコストに反映し、品質にも影響を与えるかもしれません。それを回避するのはやはり現場担当者の力量次第。

また、品質管理についてはやろうと思えば上限はないので、より効率的で的確なルールが求められます。さらには現場担当者の強い責任感がなければ品質とコストの最適なバランスを維持することは難しいでしょう。

優れたライン設計と品質管理方法、そして優秀な人材、これらが揃ってはじめて「高品質」が実現しているということがとてもよくわかりました。

●JENESISという会社

最後に、お世話になったJENESISについて書きたいと思います。

初日こそ私も緊張してほとんど話すことができませんでしたが、私が中国語を話せると分ると、いろいろな人が声をかけてくれ、楽しく仕事ができるようにとみなさんに親切にしていただきました。

そして、とても印象的だったのがどの部署も笑いが絶えないこと。出荷直前の修羅場のようなラインでは確かに怒号のような声が飛び交っていましたが、刺々しい空気になることはなく、終わればすぐ和やかムードでした。

そして、みなさん口を揃えて「この会社が好き」と。わずかな期間ながら私自身も会社が大好きになったので、おそらくホンネだと思います。

貴重で楽しい体験をさせていただき、チャンスをくださった藤岡さんはじめ、JENESISのみなさんには感謝しかありません。本当にありがとうございました。

次はあなたの番です。深圳が気になる方は思い切って飛び込んでみてください。宝物のような経験がきっとできるはずです。


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中野 志穂(ねこりん)

IT業界に身を置くようになって10余年。最近は主にギーク中国語講座のねこりん。

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