2017年4月に「ニコ技深圳観察会」に参加し、そこで訪れた工場がインターン受け入れをしているということで、7月17日から21日まで実際にインターンをやらせていただきました。
お世話になったのは藤岡さんという日本の方が経営しているJENESIS、中国名は创新讯联科技という工場です。従業員はすべて現地採用のため、社内のコミュニケーションは中国語が基本。実際に深圳の工場を体験できる上に中国語のスキルアップも狙えるとあって、インターン受け入れをお願いしました。
写真を撮ってもいいと許可をいただいていましたが、できるだけ社員の一員になったつもりで仕事をしたかったので、社内の写真はほぼありません。基本的に文字だけのレポートになりますがお付き合いください。
●初日(月曜日)
出社後、まずは実習生の契約書を交わし、早々に責任者と生産ラインへ。まずは別の工場から納品されたタブレット用の液晶パネルを一つずつ袋から出し、ライン用の専用ケースに移し替えるという作業からスタート。こういった地味だけど、必要な作業が生産ラインにはたくさんあります。
ただ、日本国内でさえ工場で働いた経験が一度もない私は、とにかく失敗しないか不安でいっぱい。また、タブレットは精密機器なので、単純な作業でも部品の扱いには気を使います。一つ一つ拙い中国語で確認をしつつ、作業をしました。
そして素晴らしいのが現場の管理者。パネルを移しかえた専用ケースがいっぱいになる頃合いを見計らって、さっとそれらをラインに回し、空いた専用ケースをタイミングよく戻してくれます。
その作業が終わると次はプラスチックの小さな部品をニッパーでゲートから切り離すという作業。プラモデルの部品を切り離すのとまったく同じ作業です。これは個人的に大好きなので嬉々として始めましたが、少し進めたところで管理者が来て、切り離し方がいまひとつということで、上手な切り離し方を教えてくださいました。実際にやって見せてくれるので基本的に言葉は不要ですが、私が少し中国語ができるということで、「ちょうど真ん中で挟んでここで一気に力を入れて」というように言葉でも丁寧に説明してくださいました。
初日の作業はここまででしたが、休憩時間にトイレットペーパーの場所が分らず、休憩時間が過ぎてしまって作業所に入れなくなったり、帽子をかぶるのを忘れて作業所に入ろうとしたり、小さな失敗をたくさんしてしまいました。
さらには、私が持っていったお土産のお菓子をお昼の休憩後に食べながら従業員の方々が「おいしい?」などと話していましたが、まだ緊張していて話の輪に入っていけませんでした。
●2日目(火曜日)
翌日の午後に出荷予定ながら、どうも作業が若干遅れ気味のようで、朝の朝礼から作業所は何となくピリピリモード。現場の主任は「とにかく安全に気をつけて作業するように」と強調していましたが、私は半田付けなどをするわけでもなく、そんなに危険もないだろうとのん気に構えていました。
ところが、これは本当にやってみてわかりましたが、修羅場のラインには思いの外危険がいっぱいです。「血の付いた手で作業をしない」という注意書きがあちこちに貼ってあるのもとても不思議で「タブレットのラインで血が出るの?」と思っていましたが、修羅場のラインでは1日に数千、もしかすると万単位で同じ作業を繰り返さなければいけません。指先はカサカサになり、皮が剥け、ボロボロになってしまいます。また、床に梱包材などが散乱し、私は一度それに足を取られて転倒してしまいました。
さらに「何でそれを報告しないんだ!」「そうじゃなくて、こうやって!」などなど怒号にも似た声があちこちで飛び交います。私は外箱に充電ケーブルを収める中敷をセットする作業をしましたが、一つ一つ悠長にラインで作業している暇はもはやありません。あっちからもこっちからも組みあがった外箱を取りに行き、さらにラインで流れてくるものもピックアップするのですが、ついつい忘れて何度も「取り忘れないで!」と怒られてしまいました。
臨時のバイトさんも含め、作業所はまさに臨戦態勢。この日は6時の休憩時にバイトの方と屋台で一緒にご飯を食べ、夜8時半まで残業をしました。
●3日目(水曜日)
さあ、いよいよこの日の午後に出荷です。朝9時に作業所に行くと、もうすでに作業を始めている方もいて、私もすぐに前日と同じ作業を続けました。充電ケーブルを収める中敷は1000枚くらいの束が何十個と積み上げられていて、「これを全部やるの??」と目が眩みましたが、現場の人たちは皆慣れたもので、淡々と作業をこなしていきます。「何という修羅場!」と焦っていたのは、もしかすると私一人だったかもしれません。
そして、いつもは1時間あるお昼休憩もその日は30分。「みんな、早く食べて!!」と食堂も臨戦態勢です。
休憩後も急ピッチで作業が進められ、私が中敷を入れた箱に充電ケーブルそしてタブレット本体が収められ、梱包され、次々と工場の外に運び出されていきます。いよいよ最後の一つが出荷された時の充実感といったら!!!
その後は雑然とした作業場を丁寧に掃除しました。床に散乱したゴミを片付け、ほうきをかけ、ラインを水拭きします。そしてまた新たな出荷分の作業がスタート。その時点では完全にお客様扱いも終わり、普通にラインに投入され、新しい作業の説明を社員の方に中国語で教えていただきました。臨時のバイトさんとユニフォームが同じことから私が日本から来たインターンと思っていない人もいて、まさに工場の一員となって働いている気持ちになることができました。
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中野 志穂(ねこりん)
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